さて、一つ前の記事では、私にとって”Ave Maria”がどんな曲であるかを少しお伝えしましたが、今回は先日のアコースティック・ライブでも歌わせていただいた、きっとみなさんが”Ave Maria”と聞いて1番に思い浮かぶ、『グノーの”Ave Maria”』について紹介させてください(*´ω`*)
・グノーの”Ave Maria”
フランスの作曲家、シャルル・グノー(Charles François Gounod / 1818-1893)が、音楽の父・バッハ(Johann Sebastian Bach / 1685-1750)の曲にメロディーをつけたもの。
ですので、作曲者はグノーとバッハが併記されることもあります。
全編を通じて、バッハらしい分散和音がとうとうと流れるこの曲。ハープとかで演奏されたら死にますね。確実に。
グノーのメロディーは儚くも力強く、祈りの言葉との相性も抜群で、最後の最後に”Amen”で締めくくる時にはまさに昇天モノの絶品度を誇る…(*´ω`*)
この曲の歌詞は上述の通り、『マリア様に捧げる祈り』そのものでして、聖書にも祈祷文が載っています。
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Ave Maria, gratia plena
Dominus tecum
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui, Jesus.
Sancta Maria, Mater Dei,
ora pro nobis peccatribus,
nunc, et in hora mortis nostrae. Amen.
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(そのうち、私なりの意訳を載せますね!)
私はこのラテン語の祈祷文の歌詞しかないものと思っていましたが、
今回記事を書くに当たってグノーについて調べたところ、
『更に1859年には当時のフランス・ロマン派の大詩人アルフォンス・ド・ラマルティーヌの書いた歌詞が付けられて出版されています。』
引用元: http://www7b.biglobe.ne.jp/~lyricssongs/TEXT/S1592.htm
という事実も知ることができました(о´∀`о)
まぁ、おフランスの方ですし、おフランス語版もないとねって感じでしょうか。
それはさておき、
このメロディー、優雅で美しいだけではなく、度々、苦悩の色を見せるんですよ。
「私のような小さき者が、尊いマリア様に直接お伝えしてよいのか、わかりませんが」
そんな風にも感じ取れるような、遠慮というか苦悩というか、そんな色合いを見せる部分が本当に素敵なの。
私も歌う時は、このように苦悩というか遠慮というか葛藤というか(笑)、そのようにしながら歌うようにしています。
YouTubeに上がっている中では、私はこちらが好きです。
歌っているDiana Damrauさんはとても好きなオペラ歌手なので、贔屓目もあるかもしれませんけれど…
彼女についてはまた別の記事を書きますが、とにかく聞いてみてください。
私はこの曲のポイントは、最初に来る山『benedicta』の”be”をどれだけ敬虔な感情を込められるかだと思ってまして…
高音だからといって強く出しては雰囲気が壊れるし、
かといってこの音域をソフトに歌うとハリに欠けるしで、
もうなんというかね難しいんですよ本当に!
それからもう一つのポイントは、やはりラテン語歌詞であるということ。
ラテン語の発音は、イタリア語話者にとっては難しくないと思いますが、
べったりと音が乗るようでいて軽やかな子音もあり、もうお前なんやねん難しすぎるやんけと私は思います。
英語話者にとってもラテン語は難しいだろうな…(;´Д`)
厳密さを求めれば求めるほど迷子になりがちな曲ですが、
・メロディーは優雅だが、歌詞の言語の発音がきつめ/くどめ
という曲は宗教曲の大半を占めるでしょうけど、一見簡単そうに見える/聞こえる曲ですが難易度は鬼…
※鍵盤の分散和音も、スローテンポなので鬼度は増し増しですね!
私なんかが理想の完成度で歌うのは恐らく一生かかる…
でも完成度を高めるには歌い続けるしかない…
と、いうことで、アコースティックライブで歌う曲として起用しました。
これからもレパートリーのうちの一曲として、大事に大事に歌い続けたいと思います。
原曲はハ長調 (C Major, C-dur)で最高音がE。
むかーしむかしは、Eがきつかったのですが、高音がどんどん出せるようになったので4音上げたバージョンのト長調(G Major, G-dur)で歌いました。
高音を競うわけではないですが(これまた別の記事に書きますが、高音が歌える=最強 という風潮が嫌いです)、転調により最高音はBになります。
本当の本当の本当は、転調というのは好きではありません_:(´ཀ`」 ∠):
Aという音にはAという響きがあり、一度原曲を聴いてその響きを覚えてしまうと、
転調するとどーーーーしてもしっくりこないからです…なので安易には転調したくないのですが、自分の得意な音域で既存の曲を歌いたかったので、転調せざるを得ませんでした。
ごめんねマリア様、グノーさん、お父さん(バッハ)。
“Ave Maria” (2) – Gounod / Bachはこれでお仕舞い、
“Ave Maria” (3) – Caccini
に続きます。